そもそも、買取業者の行う査定って何?
茶道具などの買取業者が行っている査定は、その品物の市場価値を見定めて具体的な金額をつけるプロセスです。
査定で付いた金額は、そのまま買取の金額になることが多いため、査定は、品物が現状でいくらで売れるかを明らかにする作業とも言えるでしょう。買取される品物には、それぞれ市場価値があります。
買取査定の担当者は、業界のオークション情報などを参考にして市場価値をチェックし、金額を付けていきます。市場価値の情報を入手することは、その業界に精通している専門業者でないと困難です。
業者間のオークション情報などは、一般公開されないケースも多々あります。このような品は、実際に査定に出してみないといくらで売れるかが分かりません。
茶道具などの骨董品は、1点ごとに作者や制作された年代、保存状態などが異なります。それぞれ市場価値が違ってくることから、業者のサイトで紹介されている買取実績などを見ても、参考になる情報を見つけるのはなかなか難しいのが現実です。
茶道具の査定を決める5つの基準(ポイント)
茶道具の査定ポイントは、細かくみれば多岐に渡るポイントがありますが、主に次のような5つのポイントに分けられます。
- 製作者(作家)
- 本物かどうか
- 時価相場
- 保存状態
- 共箱の有無
では、各ポイントについて詳しくご紹介します。
査定の基準1「製作者(作家)」
査定を行うときに担当者が最初にチェックするのが、作品を制作した人物、つまり作家物の作品かどうかです。
茶道具は、箱に書かれた書付や花押の内容から制作者が特定できることがあります。また、独特の作風を持つ作家の作品などは、品物の特徴から制作者がわかるケースも少なくありません。
茶道具の場合、有名作家が制作したものだと市場価値がグンと上がります。例えば、北大路魯山人や井上萬二などは、茶道具でも高く評価される作家です。
茶道の家元として知られる表千家や裏千家、武者小路千家の三千家の茶道具を手掛けてきた千家十職の作品も、市場価値が高いです。査定では、こういった作家が制作した茶道具かどうかを確認します。
査定の基準2「本物かどうか」
有名作家の作品には、贋作も多く出回っています。贋作は市場価値が大幅に下がることから、本物かどうかも査定価格を決める基準の1つです。
査定の担当者は、作家の作品に似ている特徴が見られても、制作された年代や書付の内容などを確認して本物かどうかを見極めます。鑑定士の書付などがあると本物である可能性が高くなるため、査定価格も上がることが多いです。
また、茶道具の査定では、品物の歴史的な価値も考慮されます。家元や大徳寺の僧侶が記した書付などがある品は、査定価格が高くなる可能性がでてきます。
査定の基準3「時価相場」
査定価格を決めるときは、品物の時価相場も基準です。買取業者は、業界オークションの情報などから時価相場を割り出しています。
直近の取引でいくらの価格が付いたかや、業者のみが把握している予想販売価格などは、時価相場を見定めるときに買取業者が確認している点です。
時価相場が高い品は比例するように査定価格も上がるので、その時最大の価格で取引できる市場を把握している買取業者の方が査定価格が高くなるという事です。
査定の基準4「保存状態」
茶道具は、保存状態も査定価格を決めるときの基準になってきます。茶碗や急須などの焼き物は、欠けやひびなどが見られると市場価値が高い品でも査定価格が大きく下がってしまいます。
茶杓や棗などは、細かな傷や変色であっても査定価格にも少なからず響くことが多いです。状態が悪すぎると価格が付かない場合もあるため、茶道具を売るときは出来る限りキレイな状態で保存しておく必要があるでしょう。
ただ、茶道具の場合は問題点があってもさほど価格が下がらない珍しいケースもあります。
例を挙げるとすると「井戸茶碗」という朝鮮半島の古い茶碗ですが、こちらは農民が日常的に使用していた器でしたので悪い状態が基本的だからです。
このように、茶道具にはさまざまな鑑定のポイントがあり、価値判断の仕方も少し複雑です。品物によっては、業者間で判断がわかれることも珍しくはありません。
査定の基準5「箱が付いているか」
箱が付いているかどうかも、査定価格を決める基準に挙げられるでしょう。箱が揃っている品と揃っていない品とでは、査定価格が変わることもあり得ます。
また、茶碗や棗といった茶道具の価値を見分けるチェックポイントになるのが、箱の書付です。書付が入った箱が揃っている場合、コレクターなどに品物を再販するときにも本物であることがアピールできます。
本物は高い金額で売れる可能性がでてくるため、買取査定でも価格を上げる業者が多いです。
贋作があふれている世界の品物だからこそ、本物であることが証明されていないと品物を購入しないケースも多々あるため、書付が入った箱が揃っていれば単純に売りやすくもなるのです。
まとめ
プロでないと市場価値を判断するのが少し難しいのが、茶道具の特徴です。このような品物を売る場合は、信頼できる買取業者に相談するのが良い方法と言えます。
茶道具は、オークションなどに出品して売ることも可能ですが、一般の人も自由に参加ができるオークションでは、出品価格を工夫しないと本来の品物の価値よりも安い価格で落札されてしまうこともあります。
このような状況を避けるためには、査定などを受けて品物の価値をしっかりと把握しておくことが大切です。
茶道具は、骨董品や美術品などを扱う買取業者が査定を行っています。書付などがなく制作者がわからない品も、査定に出せば市場価値が把握できる可能性があるでしょう。
茶道具の査定ポイントをきちんと押さえる事が出来れば素人でも査定することは可能です。ただし、正確な査定には経験と情報が必要不可欠ですので、やはり茶道具の買取をしている専門業者に査定をお願いするのが最も確実ですよ。