色々な茶道具の種類について
茶道具には様々な種類があり、茶の作法である点前や季節によっても用いる道具が違ってきます。
基本の茶道具を揃えるにあたって、素材や色、形、絵柄などにこだわることもできます。点前にはかかわらず、美術品のようにコレクションを楽しむ人もいるでしょう。
例えば、茶碗などは色・形・絵柄の違いによって種類の広がりは無限です。
とは言え、まずは基本の茶道具を揃えるのが第一歩です。
茶を始めるために必要な茶道具として基本といえるのが、茶碗・薄茶器・茶杓・茶せん・茶釜・風炉・柄杓・建水です。
基本の茶道具でもこれだけの数がありますから、これから揃え始めるという人は丁寧に道具選びをすることをおすすめします。
作法や季節などのシーンによって、また趣味によっても新しく魅力的な茶道具が次々に出てくるからです。
どんな道具も心を込めて大切に使えるように、最初に揃える基本の茶道具選びから真剣に向き合いましょう。1品ごとの目的や特徴などについても、正しく理解していくことが大切です。
基本の茶道具について一覧で紹介します
基本の茶道具について、種類別に1つずつ紹介していきます。
茶碗
茶を飲むために用いる茶碗は、見栄えさえ良ければ問題ないというものではありません。
茶を美味しく飲むために、さらに美味しい茶を点てるために整えられた茶碗であることが重要です。大きく分けて中国から渡来した唐物、朝鮮からの高麗物(朝鮮物)、国産の国焼物(和物)があり、それぞれ異なる焼物の種類もあります。
形も様々ですが、初心者に点てやすいのは見込みの広い茶碗でしょう。
薄茶器
薄茶器は、薄茶(抹茶粉)を入れておく容器です。
粉末状の薄茶は、湿気を嫌います。木製で、漆塗りを施したフタ付きの容器を用いるのが一般的です。
形の違いによって頭切(ずきり)や金輪寺(きんりんじ)などといった種類もありますが、よく使われているのが棗(なつめ)で薄茶器の総称として扱われることもあります。
棗の果実に全体像が似ていることから、その名が付けられたと言います。
茶杓
茶杓(ちゃしゃく)は、抹茶を茶器から掬い取るための茶道具です。
掬い取った抹茶は、そのまま茶杓で茶碗に入れられます。言わば、スプーンのような役割を果たす道具で、耳かきのような見た目をしているのも特徴です。
茶を点てるときに必要な抹茶は少量で、茶を掬う櫂先の部分も幅1cm、長さ2cmほどのサイズです。長さは16cmから20cmほどが一般的で、素材は竹製が多くなっています。
茶せん
茶碗の中で抹茶を点てるときに用いるのが、茶せんです。抹茶を入れた茶碗に湯を加え、かき回すことで抹茶を均一にならす役目を果たします。
素材は竹の一種であるハチクが多く、竹を細く裂いた穂の数は64本が標準といわれています。
また、穂が荒いものは濃茶用に、穂が細かいものは薄茶用にと使い分けられていますが、初心者に使いやすいとされているのは穂が細かい茶せんです。
茶釜・風炉
茶釜は、茶に使用する湯を沸かすための釜です。
茶釜の素材は主に鉄で、多くは炉の上に据えて使用します。この炉を風炉といい、風炉を直接火にかけてその上に茶釜を置くのです。
ただし、春先に用いられる釣り茶釜は釜鎖にかけるタイプで小ぶりです。
一般的な茶釜は、小さなサイズでも直径30cmくらいあります。風炉は素焼きで、見た目も役割も七輪に似ています。
柄杓
柄杓(ひしゃく)は、湯や水を汲むときに用います。
持ち手の部分を柄、湯や水を入れる部分を合と言い、柄の先端は切止という呼び名です。茶道では、囲炉裏を示す炉の時期を11月から4月、炉を閉めて風炉にする時期を5月から10月としています。
炉用か風炉用かによって、柄杓の柄の切止部分が違ってくるのが特徴の一つです。合を伏せたときに切り口が見えない柄杓が炉用、切り口が見える柄杓が風炉用とされています。
建水
茶碗や茶せんを湯や水ですすいだとき、あるいは茶碗を湯で温めた後には湯や水を捨てる必要があります。
そのときに容器とするのが、建水(けんすい)です。
別名をこぼしともいい、素材は陶器から木製、金属、アクリルまで様々です。形状も種類豊富ですが、湯を捨てやすいように口は広めにとられているほうが使いやすいでしょう。
建水は、茶道具の中でも最も格下の種類です。点前の際には、客から見えにくいところで使われます。
まとめ
基本だけでも10種類近くある茶道具ですが、初めて茶道具を揃えるのであれば扱いやすいものを選ぶのが良いでしょう。
もちろん好みを取り入れても良いのですが、茶道具には季節や作法もあり、好みより先に優先すべきことです。
美味しくお茶を飲むために大切なのは、もてなしの心。基本の茶道具にも、もてなしの精神を存分に取り入れることができます。
基本の茶道具選びで迷ったときには、無難なものを選ぶよりはどうすれば最善のもてなしができるかを考えてみると納得のいく道具を選べるでしょう。
もちろん、数多くの茶道具の中からこれぞというものを選ぶ楽しみも思い切り味わってください。茶道は奥が深いといいますが、茶道具選びも奥深いものです。
基本的な茶道具は10種類ですが、茶道具自体は「掛け軸」や「硯屏」などもっと種類は豊富にあります。ですので、「茶道具かな?」と思うものを売りたい場合は、茶道具買取業者に相談してみるとよいでしょう。